STEP04
ボリュームライトを使った表現


■はじめに

今回はボリュームライトです。光源の軌跡が見えるので、飲食や、アミューズメント系、イベント等のパースではよく使われると思いますが、時間がかかることもあり、あまりお使いの方はいないかもしれません。また、複数のスポットライトがある場合、スポットライト自体にFXを適用する方法や、空間タブの空気にFXを適用する方法では、ボリューム同士が加算?されてしまうせいか、重なった部分が白く、もしくは真っ黒になってしまいます。

これは円錐等のソリッド形状にボリュームテクスチャーを適用した場合も、同じく重なった部分が加算されてしまい、目立ってしまいます。そこで今回は私がボリュームライトを使用する時のやり方をご紹介させていただきます。特に変わったことではないのですが、ご参考になれば幸いです。




■01

まずはモデルを用意します。カウンターと立ち飲みスペースのあるバー、という設定の店舗です。ビームが目立つように天井も高いです。

まずは普通にレイディオシティでレンダリングします。設定は右図のようになっています。
この後もレンダリングは全てこの設定です。上記の完成図もこの設定です。








この連載用に作成したモデルデータをここでダウンロードできます。

( 注意 ) 下記のデータは、Vector Works 12.5、STRATA 3D CX 5.5Jで作成されています。

STRATA 3D CX データ

STEP05_01_s3d.zip (52.4MB) <<<ダウンロードする





■02

この画面のパソコンはG4/700MHzのiBookでSTRATAを扱うのは少々無理があります。
スクリーンショットのために使用していますが、Core 2 Duo以上くらいのCPUでないとこのくらいの処理はきびしいかと思います。出来ない訳ではないですが、レンダリングは遅いです。














■03

この状態で、ビームをみせるために、空間全体を覆う立方体オブジェクトを置き、この立方体にフォグを適用します。














ボリュームテクスチャーは他にもありますがビームを見せるにはフォグがオススメです。後で他のボリュームテクスチャーとの比較も書きますが、まずはフォグで。フォグの設定は右図のようになっています。














■04

フォグの色は、任意ですが、モデルの空間全体に影響してしまうので、全体のカラーに合わせて若干色をつけています。最大深度の数字はマニュアルでいくと、もっと大きく設定するべきかもしれないのですが、最大深度を小さくして、濃度スライダで見え方を調節するほうが無難です。

正直に設定すると、距離に対してフォグが濃くなりすぎてしまい、調節が難しいので。



開始深度を大きくとることで、カメラ手前のほうにフォグをかけない、ということはできるかもしれません。この設定でレンダリングしたのが右図です。ビームはそれぞれ、天井からカウンターまでの半分くらいで重なっていますが、そこそこ自然な感じになっていると思います。














■05

ここで、スポットライトの設定でワンポイントです。通常でしたら、このピッチのライトなら明るさ60くらいで天井高さの倍くらいの完全フォールオフを設定しますが、ライトの設定は右図のようになっています。














若干強め、フォールオフも線数変化で、最大明度到達距離も多めにとっています。こうしないと、光の軌跡があんまりでないためです。これも、フォグの濃度の設定とのバランスもあるので、何度か試行錯誤が必要でしょう。また、ソフトエッジは小さめにとらないと、ビームがはっきりしません。光に色をつけていると、ビームにも色がつきます。ビームの色はフォグの色との加算になります。




■06

シャンデリアの見えるアングルを作ってみましょう。シャンデリアにはポイントライトを1灯置きました。ポイントライトもスポットライト同様、ボリュームテクスチャーを照らします。ここでは非常に弱めなライトと薄いフォグであまり目立たなくなっていますが、できるかぎりポイントライトを使わない方がいいと思います。

影ありで弱め、設置した箇所のオブジェクトはプロジェクトウインドウで影を落とさない設定にしてあります。










ポイントライトが3つだけ入ったことになります。レンダリングすると右図のようになります。ちょっと分かりやすいように赤いカーテンは外しました。2.8GHzのMac Proで 46 分という悲しい時間になりました。

ポイントライトをなしにして同じ設定でレンダリングすると右図のようになりますが、8分で終了します。もうちょっとシャンデリアが明るい方がいいのでグロー値を上げてみます。レンダリング時間はほぼ変わりませんが、ちょっと明るくなりますね。ですが、どうしてもセードが明るく見えすぎて周りとのバランスがあまりよくありません。









■07

ポイントライトは影ありだったので、影なしにしてみます。光の強さも先ほどの 30 から 20 に下げました。
ランプセードのグロー値も 06 では 3 でしたが 2 に下げました。













今度は明るさはちょうどいい感じになりました。シャンデリアのセードは 2 重になっていて、内側はグロー値が 2、外側は 0.3 で半透明にしてあります。レンダリング時間も今回はポイントライトなしの時とさほど変わらず8分ちょっとでした。

ポイントライトがいけないというよりは、シャンデリアのように複雑な形状に影有りのポイントライトをいれてレイディオシティでレンダリングする、というのに無理が合ったようです。カーテンを戻してレンダリングしてみます。







カウンターバックのネオンと、バックバーの上下の照明は、光源無しで光る面のテクスチャだけですが、ちょうどよく見えます。光る面が多ければグローを使ったテクスチャで処理、シャンデリア等は影なしのポイントライト、というのがいいようです。




■08

このままでもいいのですが、やはりなにも光が落ちていないところも白っぽくなってしまうのが気になります。フォグ無しでレンダリングした画像をフォトショップ等で合成するのが簡単そうですが、今回のように、なにもない空間だけフォグが消えてくれればいい場合は、もうひとつやり方があります。

マイナスの明るさに設定したポイントライトで白っぽくなるフォグを暗くしてしまう方法です。ポイントライトを使い、影なしに、明るさをマイナス30、完全フォールオフ距離は周りのオブジェクトに届かない程度、ここでは 1500mm に設定しました。









■09

通路上、床から 1500mm くらいの高さに5灯、カウンター内部も若干白くなり過ぎなので同じく 5 灯レイアウトしました。













レンダリング画像は右図です。07 の 2 枚目のレンダリング画像と比較すると通路上の視線が通ってすっきりしました。カーテンもぼやけていましたがシャープになりました。カウンター上のダウンライトのビームは影響を受けていません。バックバーへの光は下の方のビームが消えてバックバーがはっきり見えるようになりました。ポイントライトが増えたため、レンダリング時間は1割ほど長くなりました。










ここで書いているレンダリング時間は、おおまかな比較のために書いていますが、起動しているソフトがSTRATAだけではありませんし、レンダリング中に他の作業もしていますので、正確ではありませんので、ご注意ください。時間も秒までは無視しています。




■10

それでも時間がかかりすぎる、と思うのも現実です。07の 2 枚目のレンダリング時間は12分ほどですが、フォグなしの場合は同じ設定でも 3 分でレンダリングできます。













ライトとフォグの立方体だけでレンダリングすると1分未満でフォグの効果だけをレンダリング出来ますので、フォトショップで合成、ということも現実的には考えられます。

それでも、シーン内のオブジェクトが落とす影やフォグ自体からの反射等、微妙なところは再現出来ないので、時間が許せばセットでレンダリングしたいですが。フォトショップでの合成例です。


フォグだけのレンダリング

フォグなしの画像と合成した画像




■11

STRATAに付属のボリュームテクスチャーはフォグだけではありません。他のボリュームテクスチャーを適用してみましょう。

まず、クラウドですが、おいたオブジェクトの中心部に雲的な?かたまりを作るのでこういった用途には適しません。

フォグも何種かありますが、色や濃度の設定がいろいろあるだけで、同じです。
ヘイズは、、私には何に使えば有効なのか分かりません(笑)。
ミストはフォグより粒子が荒いという印象でしょうか…。






もうちょっと荒くするとこんな感じです。














アップにすると均一では無く、適度にムラがあるのが分かります。














フォグよりミストのほうがきれいにいきそうな気がしますが、お好きな方で。
もうひとつ、いつから付属しているのか未確認ですが、サイキックホットラインボールというテクスチャーが付属していますが、これもいまいちどんな時に使うと効果的なのか理解出来ていません。勉強しておきます(笑)。




■12

レイディオシティでは結構時間がかかるフォグですが、レイトレーシングでも同じく使用出来ますので、ビームを出す効果が必要な時はとても役立ちます。
右図はレイトレーシングでこのシーンをレンダリングしたところです。35秒くらいです。












この画像を先ほどのフォグなしでレイディオシティ計算した画像に合成すると、完全に同じにはなりませんが、簡単にビームが描け、シーン内のオブジェクトが落とす影等も表現出来て便利です。













駆け足で説明してしまいましたが、いかがでしょうか?結構便利に使える機能なのですが、必要な場面は少ないですね(笑)。

部分的にスポットライト1灯のビームを出したい場合等は、スポットライトにフォグやミストを適用するのが手っ取り早いです。

しかし、複数灯のスポットは使えない、と思っていらっしゃる方が多くいらっしゃるようなので、こちらでご紹介させていただきました。

ぜひご活用ください。




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