Suitcase Fusion 21.0 Hep

Suitcase Fusionのコンセプト

Suitcase Fusionには、どのような環境でもほとんど同じようにフォントを柔軟に管理できるように、有効化、Type Core、Font Vault、そしてFont Senseという4つの主要なコンセプトがあります。

有効化

有効化によって、フォントを各アプリケーションで使用可能にできます。フォント管理ツールを使用しないと、すべてのフォントが常に使用可能になります。

フォント管理ツールを使用して、フォントを有効化/無効化、つまり基本的にはフォントのオン/オフを切り替えることができます。

フォントの有効化/無効化には手動と自動の2種類があります。手動だと、Suitcase Fusionを使用して自分でフォントを有効化/無効化します。自動だと、Suitcase Fusion(の機能の一部)がフォントを必要な時に有効化、また不要な時に無効化します。

TYPE CORE

フォントの有効化/無効化は、Type Coreの存在によって容易になっていると言えます。Type Coreは、コンピュータと同時に起動するバックグラウンドアプリケーションです。フォントの有効化/無効化のリクエストを受けて、それを実行するのが主な役割です。

つまり、フォントの自動的な有効化/無効化には、Suitcase FusionのアプリケーションそのものよりもType Coreにリクエストを送るプログラムが必要になります。

Suitcase Fusionには、Adobe InDesign、Adobe Photoshop、Adobe Illustrator、Adobe After Effects、Adobe InCopyといった一般的なデザインソフトウェア向けプラグインが用意されています。それぞれのプラグインが各デザインアプリケーションとType Coreを接続することによって、Suitcase Fusionを起動しなくても、必要に応じてフォントを有効化/無効化できます。

FONT VAULT

通常、コンピュータにはOSが使用可能にするフォントを保存する規定の場所が用意されています。しかし、このことは同じ名前のフォントを1つのバージョンしか保存できないことを意味しています。また、フォントファイルが破損した時の復旧が少し難しくなるかもしれません。

Suitcase FusionはFont Vaultと呼ばれる独自の場所にフォントを保存します。OSの動作に必須のフォント以外はFont Vaultに移動できます。それによって、Suitcase Fusionとプラグインによるフォントの有効化/無効化が速くなります。

また、Font Vaultを使用することによって、フォントをコンピュータのデフォルトのフォントフォルダに残しておくとできないような、Suitcase Fusionの多くのフォント整理機能を使用できます。

FONT SENSE

各デザインアプリケーションは、Font SenseによってType Coreに有効化をリクエストする必要があるフォントを特定します。Font Senseは使用しているすべてのフォントに一意のIDを適用します。各デザインアプリケーションでドキュメントを保存すると、プラグインが使用しているすべてのフォントのFont Sense IDをドキュメントのメタデータに保存します。ドキュメントを再度開いた時に、プラグインがFont Sense情報を読み取り、Font Coreに必要なフォントの有効化をリクエストします。

Font Sense IDはフォントごとに異なります。つまり、バージョンの異なる同じ名前のフォントを複数所有していても、Suitcase Fusionとオートアクティベーションプラグインはそれらを区別して、正しいフォントを有効化します。

参考:作成時期や作成環境が異なり、様々なバージョンのフォントが使用されているドキュメントを取り扱う必要がある場合は、同じフォントの異なるバージョンを複数所有しておくことは重要です。各ドキュメントで使用されているフォントと同じバージョンのフォントがあれば、フォントのメトリックス(文字間、行間、そして文字の形など)の変更によって生じる問題を避けることができます。適切なフォントを所有していれば、ドキュメントを開く度に修正する必要がなくなります。

あるフォントが使用されているドキュメントを開く時には、それと同じ名前のフォントを有効化すれば十分という訳ではありません。フォントの世界では、HelveticaとHelveticaは同じフォントとは言えません。Adobe Garamondのように、同じ開発元の同じ名前のフォントにも複数の異なるバージョンが存在します。間違ったフォントを使用するとテキストのリフローが発生して、改行の位置が変わったりテキストが途切れたりして全体的なデザインに悪影響を及ぼす可能性があります。

ほとんどのアプリケーションは、ドキュメントに使用されているフォントの名前と、場合によっては種類(OpenTypeやPostScriptなど)を記録します。しかし、様々な種類、開発元、そしてバージョンが存在するようなフォントでは、名前は一意の識別子とは言えません。多くのユーザーがコンピュータに同じフォントの異なるバージョンを(特にHelveticaやTimesなどの一般的なフォントで)インストールしていますが、アプリケーションはドキュメントに使用されているフォントのバージョンを記録しません。Font Senseを使用してフォントの完全なメタデータをドキュメントに保存することで、フォントの名前による有効化の限界を超えることができます。

Font Senseによるフォントのメタデータはまず、フォント名、種類、開発元、そしてフォントのバージョン番号から生成されます。次に、フォントの識別を確実にするために、チェックサム値などの情報が追加されます。最終的なFont Sense識別番号は、Suitcase Fusionの情報パネルで確認できます。

サポートされているアプリケーションでドキュメントを保存する度に、プラグインはドキュメントのFont Senseメタデータをアップデートします。ドキュメントに使用されているフォントの検出がフォントの名前だけに依存しなくなります。

Font Senseの仕様に従っているドキュメントを開くと、プラグインはFont Senseメタデータを使用して必要なフォントを正確に有効化します。フォントのメタデータがドキュメントに保存されていると、フォントの詳細情報も一緒に移動できます。Font Senseメタデータは、どのコンピュータでドキュメントを開いても同じように使用できます。